第2回 データサイエンス特別授業~データで見える「街の未来」~

北九州市立大学 中尾泰士教授による「データサイエンス特別授業」

全3回シリーズの「データサイエンス特別授業」。第2回目のテーマは 「相関関係と予測」です。今回は、人口データと店舗数の関係を分析し、将来の街の姿をデータから考える実践的な学びが展開されました。

【人口ピラミッドで未来を読む】

授業の導入では、e-Statの統計ダッシュボードを使って、日本や北九州市の人口ピラミッドを確認をしました。次に、過去・現在・未来の人口構成を比較しながら、少子高齢化や人口減少の影響を考えました。

「自分が30歳になる頃、日本の人口はどうなっている?」という問いに、生徒たちは推計データをもとに未来を想像し、推計には仮定があること、事実と予測を区別する重要性も学びました。

【人口と店舗数の関係を探る】

次に、生徒たちは北九州市7区の人口と店舗数(スーパー、ドラッグストア、コンビニ、本屋など)を調査を行いました。Excelで散布図を作成し、人口と店舗数の相関を分析した結果・・・。

驚きの発見!

  • スーパーの数は人口と強い相関
  • ドラッグストアや本屋も人口と相関があるが、強さは異なる

「なぜ店舗の種類によって相関が違うのか?」という問いを通じて、地域の特徴や生活スタイルを考えるきっかけになりました。

【回帰分析で未来を予測】

散布図に回帰直線を追加し、人口に応じた「適正な店舗数」を推定しました。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計を使って、2040年や2050年の北九州市各区の店舗数を予測しました。

ここで浮かび上がった課題は「買い物難民」。人口減少に伴い、店舗数が減ると高齢者や交通弱者の生活に影響が出る可能性があります。生徒たちは「どんな対策が必要か?」を議論し、データから課題を発見する力を養いました。

【発展:地図で見るデータ】

授業の最後には、地理情報システム(GIS)を使って、店舗の位置情報を地図にプロットする方法も紹介。CSVファイルをインポートし、統計地図を作成することで、データの「見える化」がさらに進化しました。

【次回予告】

第3回では、さらに高度な分析に挑戦。「データを使って社会課題を解決する」ためのアイデアを形にしていきます。シリーズ最終回もお楽しみに!